満開の桜の下でアートを堪能

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八甲田山標高1100mで雪の回廊を走る

八甲田山標高1100mで雪の回廊を走る

今年の青森は雪が少ないという。それでも山を越える道路の両側にはバスの天井より高い雪が残っていた。青森市から十和田市に行くのに雪山越えとはかなり酔狂だったかもしれない。だけどこんな景色はめったに見ることができないから。

雨模様ではあったが、十和田市では桜が満開だった♪

雨模様ではあったが、十和田市では桜が満開だった♪

ところが山を下りた十和田市では、まさに満開を迎えた桜並木が私たち10名の視察団を出迎えてくれた。

官庁街通りと呼ばれているらしい広い道路の両側の桜を目にして私たちは嘆声を洩らした。もし今日が雨でなかったら花の下をそぞろ歩き、どこかの公園でベンチを見つけてボーっと眺めていたいものだ。
もちろんそこに一杯のお酒があればもっと幸せだけれど(笑)。
山越えをしてでもここに立ち寄りたかったのは別に花見をするためではない。「十和田市現代美術館」を訪れるためなのである。オープン以来テレビや雑誌に何度も採り上げられているのでご存知の方も多いはず。ただ首都圏からはちょっと不便な場所にあるので、こういう機会がないとなかなか訪れることができないかもしれない。
チェ・ジョンファ「フラワー・ホース」が前脚を高々と持ち上げて迎えてくれた

チェ・ジョンファ「フラワー・ホース」が前脚を高々と持ち上げて迎えてくれた

椿昇(つばきのぼる)の作品「アッタ」があった

椿昇(つばきのぼる)の作品「アッタ」があった

美術館と言っても重々しいコンクリートの建物ではない。ガラス張りで外からも作品が眺められる白いキューブがいくつか連なり、その奥に三階建てほどの展示棟がつながっている。建物をつなぐのは緩やかな曲線を描くガラス張りの回廊で、明るく非常に開放的な印象を与える。
傘を差して屋外の作品をひとしきり眺めてから入館する。
(館内は撮影禁止なので、ここからは作品名をクリックして、リンクされた画像を見てください)
私がどうしても会いたかったのはロン・ミュエク「Standing Woman」だった。大きさにももちろん度肝を抜かれるが、手のひらの皺や眉毛の生え際など、細部を見れば見るほど何か不思議な笑いが腹の底からこみ上げてくるのだった。
そしてキム・チャンギョム「memory in the mirror」という作品は暗室の中で映写機が回っている。向こうの白い壁に投影される画像を、ときどき靴音と共に人のシルエットが横切るとまったく別の映像に切り替わる、その意外性が面白い。
ハンス・オブ・デ・ビーク「Location(5)」の部屋に入ると、あたかも車が一台も通らないハイウェイを見下ろす寂れたレストランに迷い込んだような気分になる。オレンジ色のナトリウム灯がともるハイウェイはゆっくりカーブしてはるか遠くで左に消えていく・・・というのが実は錯覚で!・・・などとネタをバラすのはやめておこう。栗林隆「ザンプ・ランド」の楽しさは、これはもう天井に開いた穴に首を突っ込んで見なければわからない(笑)。
2泊3日で函館から青森を経由し十和田を巡る総勢13名の濃ーい視察旅行はこれでおしまい。
もちろん大爆笑シーンも、刻々と迫る出発時刻を焦りながら待つサスペンスシーンもあったけれど、それは今度お酒を飲んだ席ででも(笑)。
written by:ホヤの干物はウニの味に似ていたぞ「雫酒」