
函館から青函トンネルを抜けて走る「海峡線」特急白鳥にテツ子さん大喜び
「函館バル街」の盛り上がりを体感した翌朝、津軽海峡をくぐって青森に向かった。延々と続くトンネルの長さに興奮気味の乗客の中にあって、一人浮かぬ顔をしていたワタシ。だってトンネル区間53.85kmは海の下100mなんですぜ。もしも電車がそこを走っている最中に大地震が襲ったら壁の割れ目から轟々と流れ込む海水の奔流に逆らって、泳げないワタシがどうやったら出口までたどり着けるというのか。「鹿島神宮、鹿島神宮・・・」(地震を起こす大鯰を封じている)と心の中で念じているうちに電車は青森県側の空の下に滑り出た。ああ、ありがたや。

青森駅前の再開発ビル「アウガ」地下にある市場
ここからはバスで回る。乗継まで時間があったので昼食を兼ねてのフリータイム。駅前再開発の中心である複合ビル「アウガ」の地下には市場が入っている。ここにはカウンターだけの寿司屋や定食屋もあり、さすが産地だけに新鮮でおいしい魚介類が食べられる。個人的には整然と区画にはめ込まれた市場ではなくて、昔このビルの裏側にひしめき合って広がっていた「駅前市場」の雑然として活気がある風景のほうが好きだったけれど。
ただこの街にも容赦なく不況の風は吹きつけていて、青森市は昨年ここ「アウガ」を運営している第三セクターの債権を23億3千万円分肩代わりした(記事にリンク)。また私が4年前に訪れたときと比べて、駅前至近の商店街には「貸店舗」の札を貼り付けてシャッターが下りている店が増えているのも胸が痛む光景だった。
次に私たち10名がバスで向かったのは、青森市郊外にある「国際芸術センター青森」である。

幅6m×高さ3m×延長140mの美しい空間
駐車場から芸術センターに向かおうとした私たちは、まずこの美しい陰影に驚く。「四季のアーケード」は木材を網代に組んだ遊歩道になっている。雪が消え、草木が萌え始める春にはまた別の表情を見せるのだろう。夏にも秋にもまた別の彩りがあるのだろう。

「第44回BCS賞」を受賞した国際芸術センター青森
「国際芸術センター青森」は安藤忠雄設計で第44回BCS(建築業協会)賞を受賞している。昨年秋にアートラインメンバーで訪れた直島「地中美術館」といい、安藤忠雄氏にはご縁がある・・・のか?
残念なことにちょうど展示替えの期間だったらしく、屋外に点在しているアート作品しか見ることはできなかった。
こうした作品が林を巡る小道に沿って点在しているのだ。雪深い青森では、冬の間は埋もれてしまうのだろうか。
あいにくの曇り空で少し肌寒くもあった。しかし賑わっている展覧会もいいけれど、人っ子一人いない空間をゆっくりと散策しながら作品を眺めるというのもまたいいものだ。
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それでもこの曇り空を私たちは空の神様に感謝しなくてはいけなかった。
この4日後に青森は記録的に遅い大雪に見舞われたそうだから。

4日後には大雪が降ったそうだ
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written by:2004年11月から523日連続飲酒記録更新中「雫酒」