日光と月光

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2008年の春のことですが、東京国立博物館に薬師寺の日光菩薩と月光菩薩が滞在していました。

ぼくは、運よく5月に拝観することが適いました。

多くの人々と同じように、しばらく見とれていました。時間を失うということを久しぶりに感じました。いつまでも眺めていられたなら、おそらく平気で半日くらいはいたかもしれません。

薬師寺でのお二人の菩薩は、薬師如来の両脇におります。そして光背があります。しかし、東京では、光背はありません。間にいるはずの如来様もおりません。あるはずのものがない。さらに、いるはずのお方がいないことによって、日光菩薩と月光菩薩そのものの美しさが際立ったと感じました。

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たまたま友人知人に誘われて歌会なんぞに加わっているので、ひとつつくりました。

「太陽と月の光を携えて静かに座すも如意にあらずや」

自分が、まかり間違ってお二人の菩薩の間に座っちまったとしたら、とても落ち着いてなんかいられません。