で、函館まで1時間20分。
この「函館バル街」というイベントは参加店舗64店の営業時間帯がマチマチなのだ。14:00から20:30という甘味処もあれば18:00から23:00のバーもある。逆に言えば上手くスケジュールさえ組めば14:00から飲み始めて23:00まであちこち楽しむことができる。ただしチケットは5枚綴りだから使い切ったら買い増しするしかない(前売り@700円→当日券@800円)。
イベント開催当日というのに実行委員長に時間をとっていただけたのは、偶然にも地元新聞社に柏から異動されていた記者Yさんのお力添えによる。ここでポスターやチケット印刷経費をどうやって捻出しているかなど、かなり突っ込んだ話が聞けた。
その後、函館が初めての方も多かったのでいくつかの観光名所を回りながら地理を説明したのち、どどーん!私たちの「バル街」スタート!
ときは14:30である。
一軒目は「やまじょう」という喫茶店。《ハリストス正教会》のそばにある。店主の太田誠一さんは映画作りなどでも有名人で、エア・ドゥー機内誌3月号にも紹介されていた。
これが私たちが初めて遭遇した「ピンチョス」。
蒸し鶏と、開発中の自家製パンだというが、小皿料理にしてはちょっと量が多くないか?
こんな勢いで5軒を食べ歩けるのか不安がよぎる。(とか言いながらワインは2杯目をお代わりしたりして)
私はイベントがない日常のこの街角を知っているけれど、歩いている人を探すのさえ大変なほど閑散としているのである。ときどきご老人が乳母車のようなカートを押してゆっくり歩いているか、他に動くものはネコぐらいしかないのだ。それが一変して、老若男女、「バル街」マップを手に大勢繰り出しているではないか。しかも推定9割以上が地元民であるという。居住区域が郊外へとスプロール化して久しいのだから、この人たちはバスや電車を乗り継いで集まってきたのだろう。これはある意味、感動的でさえあった。
さて桜が咲かない早春の函館は、日が傾くと途端に冷え込んでくる。
出発した日の柏では薄手のシャツだけで事足りたのに、同じ日の函館は冬物のコートとマフラーが必須なのだ。
ほろ酔い加減で賑わう街を歩いていると、どこからか音楽が聞こえてくる。単なる飲み歩きだけでなく、あちこちでJAZZの演奏やフラメンコダンスなどのサプライズイベントが(マップに掲載していない)行なわれている。野外に簡単なテーブルをしつらえて、音楽を聞きながら立ち飲みってのもなかなか楽しいものだ。
地元の参加者にとって、ライトアップされた歴史的建造物が点在する《わが街》を歩いてみるのは、時ならぬ観光客気分でもあるだろう。何しろ通産30年間この街で暮らした私にしたところで、仕事以外ではほとんど訪れたことがなかったのだから。
また久しぶりに仲間が集まるいい機会でもあるかもしれない。3人とか4人ずつのグループがビールを酌み交わしているのを眺めると、そんな気がする。電車が発達した都会と違って、クルマ社会の地方都市ではなかなか仲間内で飲むチャンスが作りにくいものなのだ。
おまけ。
昼食に案内した回転寿司で。私の家族で函館に来たときにも寄るけれど、どんなに食べたといっても一人2,500円どまり。それを今回は3,200円って・・・まるで魚が先祖のカタキみたいにやっつけたのね。
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written by:酒には塩だけあればいい「雫酒」